Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー

スタジオの片づけが終わり、夜の空気がゆっくりと冷えていく頃、
柚歩は控室のソファに座って、胸元のペンダントをそっと握った。
ラピスラズリの青が、薄い照明の光を受けて静かに揺れている。

その揺れは、さっき御影から告げられた提案を、
胸の奥で何度も、響き返しているようだった。

顔を出さない歌手。
姿ではなく、声だけで生きる未来。
その言葉が胸の奥に落ちてから、心の中の揺れはずっと続いていた。

「……柚歩」

控室の扉が軽くノックされ、琉生が入ってきた。
手にはスケッチブックが抱えられている。
その表紙が見えた瞬間、柚歩は胸の奥がふっと熱くなるのを感じた。

「覆面のデザイン、少し描いてみたんだ」

琉生は照れたように笑いながら、
スケッチブックを柚歩の前にそっと置いた。
ページをめくると、そこにはいくつもの覆面案が描かれていた。

どれも、柚歩の声の印象をそのまま形にしたような、
柔らかくて、静かで、深い青を基調にしたデザインだった。

「……これ、全部……私のために?」

柚歩がそう言うと、琉生はゆっくりとうなずいた。