永遠の途中で君と

貴方はやっと、その子が最後に撮った

海辺の近くにたどり着く。

夕暮れだ。

ロック画面の写真と同じ場所。
同じ防波堤。
同じ波の音。

そこには誰もいない。

当然だ。

その子はもういないから。

貴方は少しだけがっかりした。

本当はどこかで会える気がしていたのに。


物語のラストには奇跡みたいな

再会があると信じてた。


でも、海は何も答えてはくれなかった。

貴方は防波堤に腰掛ける。

空を見上げ、初めて思う。

「私は本当にその子に会いたかったんだな。」

その瞬間。

ポケットの中からスマホが震えた。

通知はない。
メッセージもない。
電波もない。

ただ画面が光るだけ。

真っ白な画面。

そこに文字が現れる。


『やっと会えたね。』


貴方は立ち上がって振り返る。

やっぱり誰もいない。

でも、不思議と怖くない。

だって、その言葉が誰のものか

わかっているのだから。

「どこにいるの?」と貴方は聞く。

返事が現れる。


『ずっとここにいたよ。』

「海辺?」

『違う。』

「スマホ?」

『違う。』

「じゃあどこ?」


長い沈黙。

そして最後の返事。


『君が私を想像してた場所。』


風が吹く。

その瞬間、貴方はようやく理解した。


その子は最初から特別な
秘密を持っていたわけじゃない。
英雄でもない。
天才でもない。
伝説の人物でもない。


ただ誰かに理解されたいと思いながら

同時に誰かを理解したいと願っていた。

それだけの人だった。


それは、人間が人間を好きになる

理由そのものだった。


貴方は少し笑う。

「なんだ。」

「普通の子じゃん。」

すると、画面に返事が出る。

『酷いな。』

『頑張って生きてたのに。』

貴方は声を出して笑い出す。

その子も笑っている気がする。


夕日が海へ沈む。

画面の文字は少しずつ消えていく。

最後の1行だけを残して。


『ねえ。』

『私のこと忘れてもいいよ。』

『でも。』

『誰かを知りたいと思った気持ちを忘れないでね。』


そして、文字は消える。

完全に。