ライブが終わった頃には、夢から覚めたみたいな気分だった。
楽しかった。
でも終わってしまった。
そんな寂しさを抱えながら、一緒に参戦した莉美(りみ)とご飯を食べて宿泊先のホテルへ向かう。
エレベーターを降り、莉美とは部屋が違うので「また明日ねー」とお別れした後静かなロビーを歩いていた時だった。
ふと前を見る。
そして、足が止まった。
心臓も止まった気がした。
数メートル先。
黒いキャップを被った男性が立っている。
見間違えるはずがなかった。
何度も画面越しに見てきた顔。
何度も写真を見返した顔。
さっき会場で見た顔
翠だった。
「え……」
声にならない。
頭が真っ白になる。
夢だと思った。
だって数時間前までステージの上にいた人が、今こうして目の前にいる。
現実感なんてなかった。
そのまま通り過ぎればよかったのかもしれない。
でも、気付いたら足が動いていた。
「す、すみません……!」
翠がこちらを見る。
その瞬間、心臓が大きく跳ねた。
「私……ずっと好きです。ずっと応援してます」
震える声。
情けないくらい緊張していた。
けれど、それだけは伝えたかった。
翠は少し驚いたように目を見開く。
それからふっと笑った。
「ありがとう」
優しい声だった。
「そう言ってもらえるの、本当に嬉しいよ」
たった一言。
なのに胸がいっぱいになる。
涙が出そうになる。
翠は少し首を傾げた。
「ライブ、来てくれてた?」
「はい」
「楽しめた?」
その質問に、私は何度も頷いた。
言葉にできないくらい。
人生で一番楽しい時間だったから。
すると翠は柔らかく笑った。
「よかった」
その笑顔を見た瞬間。
この日のことを、一生忘れないだろうと思った。
まるで運命が少しだけ道を交差させてくれたような夜だった。
でもその時の私は、まだ知らなかった。
この偶然の出会いが。
もう一度彼と再会する未来へ繋がっていることを。
楽しかった。
でも終わってしまった。
そんな寂しさを抱えながら、一緒に参戦した莉美(りみ)とご飯を食べて宿泊先のホテルへ向かう。
エレベーターを降り、莉美とは部屋が違うので「また明日ねー」とお別れした後静かなロビーを歩いていた時だった。
ふと前を見る。
そして、足が止まった。
心臓も止まった気がした。
数メートル先。
黒いキャップを被った男性が立っている。
見間違えるはずがなかった。
何度も画面越しに見てきた顔。
何度も写真を見返した顔。
さっき会場で見た顔
翠だった。
「え……」
声にならない。
頭が真っ白になる。
夢だと思った。
だって数時間前までステージの上にいた人が、今こうして目の前にいる。
現実感なんてなかった。
そのまま通り過ぎればよかったのかもしれない。
でも、気付いたら足が動いていた。
「す、すみません……!」
翠がこちらを見る。
その瞬間、心臓が大きく跳ねた。
「私……ずっと好きです。ずっと応援してます」
震える声。
情けないくらい緊張していた。
けれど、それだけは伝えたかった。
翠は少し驚いたように目を見開く。
それからふっと笑った。
「ありがとう」
優しい声だった。
「そう言ってもらえるの、本当に嬉しいよ」
たった一言。
なのに胸がいっぱいになる。
涙が出そうになる。
翠は少し首を傾げた。
「ライブ、来てくれてた?」
「はい」
「楽しめた?」
その質問に、私は何度も頷いた。
言葉にできないくらい。
人生で一番楽しい時間だったから。
すると翠は柔らかく笑った。
「よかった」
その笑顔を見た瞬間。
この日のことを、一生忘れないだろうと思った。
まるで運命が少しだけ道を交差させてくれたような夜だった。
でもその時の私は、まだ知らなかった。
この偶然の出会いが。
もう一度彼と再会する未来へ繋がっていることを。

