「帰ってこないね、健」
とうとう昼休みになり、ヒロくんがあたしの席の前に座って言った。
和馬くんの席と、健くんの席を交互に見ている。
あたしも、ヒロくんと同じように目を向けた。
2つの席だけが、浮いて見える。
机の茶色い色が、何だかすごく悲しく見えた。
「昼飯買いに行かない?」
ヒロくんに言われ、うんと頷く。
2人で廊下に出て、購買まで肩を並べて歩く。
和馬くんに、ラインしてみようかな。
どこにいるのか聞いて、今すぐ気持ちを伝えに行こうかな。
このままだと、あたし自身また逃げてしまいそうで怖いんだ。
こういうのって、勢いが大事だからさ……
うん――。
そうだ、ラインしよう。
スカートのポケットからスマホを取り出し、和馬くんの名前をさがしメッセージを打つ。
“和馬くん、どこにいるの?話したいことがあるので、連絡してください”
――送信。
ボタンを押そうとした、その時。
ガガガガ――っ!!!



