「あたし、“他のどうでもいいヤツ”なら、好きになってないよ」
「………」
「和馬くんだから、好きになったんだ」
「………」
「和馬くんのどこが好きなのかと聞かれたら、それは、ちょっと今は思いつかないけど」
あたしが言うと、『なんだよ、それ』と、健くんが軽く吹き出した。
「でもなぜか、和馬くん限定で、あたしの細胞が反応するの」
「……うん」
「うまく説明できないけど、心臓が痛かったり、体の中の変なものが熱くなったり」
和馬くんと話すだけで、体の中を喜びが駆けまわって。
目が合うと、吸い込まれるように凝視してしまって。
常に隣にいたくて、和馬くんの好きなものを知りたくて。
和馬くんの、一番になりたかった。
健くんが、風で揺れるあたしの横髪に触れた。
唇に張り付いていた髪を、取ってくれる。
「ゆずらしいな」
「――え?」
「必死に言葉を考えて、泣きそうな顔になって」
「………」
「そうだよな。“他のどうでもいいヤツ”なら、好きになってないよな」



