隣の健くんを見上げる。
ゴクリと、のど仏が動いていた。
「どうして、他のどうでもいいヤツじゃなかったんだろうって」
――健くん。
「どうでもいいヤツなら、ボッコボコのギッタンギッタンにできるのに」
フッと微笑んで、あたしを見下した。
健くんの瞳が、とても切ない。
「前、俺んち来た時、小さなグローブあっただろ?」
「うん。あたしのへたくそな文字が書いてあるヤツね」
「そう」
――“めざせ こうしえん”
文字は、もう消えかけていたけど。
「おまえが引っ越していってから、一度部屋の大掃除をしたんだ。ガキの頃のおもちゃとか、いらなくなったものを処分しようと思ってさ」
「………」
「実はあのグローブ。おもちゃ箱の一番下に入っててさ」
あたしは、軽く笑った。
「でもそれを見つけた瞬間。かなり懐かしくなって…何故か、俺の中が、おまえ一色になったんだ」



