10年ぶりに再会した幼馴染みがイケメンすぎて困ってます!


少し、夜風を浴びたかった。

ほとんどの生徒が温泉を楽しんでいるこの時間帯は、とてものんびりと時間が過ぎているようだった。

部屋にあった浴衣を着て、ロビーを過ぎて、正面から外へ出る。

紅葉の木や、松の木がライトアップされ、目の前が輝いている。

風が心地いい。

お風呂上りの身体には少し肌寒く感じたが、今は、この冷たさがほしかった。

頭を冷やしたい。

冷静になって、このもやのかかった道をどうやったら速く進めるか、ゆっくり考えたかった。

「――…ッ」

玄関を出てすぐ、誰かの話し声が聞こえてきた。

あたしと同じように、この美しくライトアップされた紅葉でも見に来たんだと思い、その声の方へ足を進めた。

なんてバカだったんだろう。

「……ッ!!!!」

誰の声が聞こえてこようと、真逆に足を進めていればよかったものを。

人の集まるところのほうが安心。

どうして、そんな考え方しかできなかったんだろう。