頭上で、慌てる声が響いた。
目の前にある厚い胸は大きく上下に動いていて、荒い息が、あたしの前髪を揺らした。
「大丈夫……」
そう答えたけれど、声がガタガタ震える。
支えられた安心感から、身体にまで震えがきた。
目の前にある制服を掴み、胸に顔を埋めた。
「柏木っ!!!! 大丈夫か!?」
ヒロくんが階段を大慌てで駆け上ってきた。
あたしを覗きこみ、今度は勢いよく立ち上がり、辺りを見渡した。
「…くそっ!! 誰だよ!! 柏木を押したヤツ!!」
でも、生徒でごった返している。
この中から犯人を探すなんて、無謀だ。



