初めて、言葉を交わした。
鈴の鳴るような可愛らしい声。
身長差からくる上目遣い。
なんで私に?といった感じのキョトン顔。
全てが可愛い。
ハムスターみたい。
もういっそ明日告白してしまおうか。
なんて…。
そんな勇気も無いくせに。
翌日の昼休み。
彼女は、僕の教室までやってきた。
…何で、知ってるんだろう?
僕は慌てて教室を出た。
「わざわざ来てくれたんだ」
彼女はコクリと頷いた。
目は合わない。
傘を僕に押し付けて、
「ありがとうございました」
と、鈴の音で言って、小走りで行ってしまった。
僕は、思わず追いかけた。
手首を掴んだ。
彼女の、ビクッとした振動が感じられた。
「名前、教えてほしい。僕は…」
「相原心花、です」
「僕は」
「知ってます」
「え…?」
「…有名人だから」
「僕って有名人なの?」
コクリと心花ちゃんは頷いた。
勇気を出して言ってみた。
「ねえ良かったらさ、これからお昼、一緒に食べない?」
「…もう食べました」
「そ、そっかそっか。じゃあ明日とか!」
心花ちゃんはぎこちなく首を傾げた。



