私だけに見せる、彼の独占欲。

「お、おじゃまします……」

ドアを入った瞬間、変に明るい声が出た。
緊張をごまかしたくて。

俊の部屋は、きれいでシンプルだけど、
いかにも男の人の部屋って感じがする。

……慣れてるのかな

ふと、そんなことを思ってしまう。

靴をそろえながら、なんとなく聞いた。

「家にあげるの……慣れてる感じですね」

俊は一瞬きょとんとして、
それから小さく笑う。

「は? 心配するなよ。女子はあげたことないから」

「ふ〜ん。」

おどけて返しながら、
内心はちょっとだけ安心していた。

「ちょっと待ってて。飲み物でも入れる」

ソファに座るけど、落ち着かない。

ここで寝てるんだ、とか、
考えなくていいことばかり浮かんでくる。

飲み物を受け取って、
一口飲む。

それだけなのに、なんだかぎこちない。

隣に座られて、距離が一気に近くなる。

映画館より、ずっと近い。

「緊張してる?」

「してません」

即答すると、「顔赤い」と笑われた。

「照明のせいです」

たぶんバレてる。

少しの沈黙。

テレビもついていなくて、やけに静か。

俊がゆっくりこっちを見る。

「……ちょっといい?」

え、と思った瞬間、頬に手が触れた。

そのまま、キス。

いきなりで、頭が真っ白になる。

俊が小さく息を吐く。

「これでも結構我慢した」

低い声に、心臓がうるさくなる。

「映画のときも、ずっとキスしたかった」

そんなこと言われたら、余計に。

「……俊」

名前を呼ぶと、俊の目が少し変わる。

「だから」

もう一度、ゆっくり近づいてくる。

今度は、私がシャツをつかむ。

キスが、
さっきより長くなる。

確かめるみたいに、やさしく。

離れたとき、

俊が小さく笑う。

「ゆう、可愛い」

「言わないでください」

顔が熱くて、まともに見られない。

俊はそのまま、
髪をやさしく撫でた。

「大丈夫。ちゃんと止まれる」

その一言で、少しだけ力が抜ける。

ちゃんと考えてくれてるんだって、
分かるから。

だから
私から、言った。

「……そんなに我慢しなくていいです」

俊の目が揺れる。

言葉を探しながら、続ける。

「私も、ちゃんと好きだから」

一瞬、空気が静かになる。

俊がゆっくり私を抱き寄せる。

強くはないけど、離さない抱き方。

胸の音が、重なる。

映画よりも、ドラマよりも。

これは、ちゃんと本物だと思った。