顔はいかついのに、何故だか恐いとは思えない不器用な笑顔で。 あたしは言われた通り、“あっちの席”―――真反対のはじっこに座った。 「姐さん、気分はどうっすか?」 「…あ、はい、もう大丈夫です…」 「それは良かったっす」 また、不器用な笑顔。なんだかほっとする。 でも、さっきから…姐さん、って。 呼ばれ慣れない以前に、いろいろと違和感がある。 「…あ、あの…」 「はい?」 その呼び方はちょっと……と、言おうとした時。 パシンッと、障子張りの扉が片側だけ開けられる。 …蓮見くんだ。