40席、用意された椅子はもう埋まっていた。他の人は立つようになるのだが、そんなこと気にもせず、さっきから人がわらわらと駆け込んでくる。



立っている人の方が多いんじゃないか、それほどこの広くもない狭い教室には、人が溢れかえっている。





うわー、緊張する!


あたしが客席から見えない場所からちょこっと覗いていたら。


つんつん、と突かれて。

振り返ると亜美がいた。



「うはー!人多いっ。緊張するね〜」


亜美は、すでに白雪姫の衣裳になっていた。

…やっぱり、似合ってる。素直で可愛らしい亜美に、ぴったりだよ。




「…あたしね、言おうと思うんだ。」


「え…?」


「白雪姫になれたから、今日までさ、文化祭準備の時、ずーっと近くに入れて、すごい嬉しかった……夢みたいでね、やっぱり好きだなぁって思ったよ」



そう思い出すようにあたしに話す亜美の顔は、本当に恋する女の子だった。