ORANGE×BOY

ギィ、と蓮先輩が重い鉄製の扉を押し開けた、次の瞬間だった。

パァン! パァン!

「うぉ!! なんだ!?」
「きゃっ……!」

鼓膜を突き刺すようなけたたましい破裂音と同時に、色とりどりの紙吹雪が二人の頭上に降り注いだ。

咲良が驚いて思わず蓮先輩の腕にすがりつき、目を見開いて前方を見据えると、そこには見覚えのある笑顔が並んでいた。

クラッカーの紐を引いたまま、爽先輩と凌久先輩が息ぴったりに声を揃える。

「「おめでとー!蓮~!!咲良っぴ~!!」」

「ごめんね、みんな蓮と咲良ちゃんのお祝いをしたいって言うもんだから」

そう言って、苦笑しながらも優しく微笑んだのは海里先輩だ。その隣では、親友の茉那がしてやったりと言わんばかりの満面の笑みを浮かべていた。

「昼休みの用事ってこれだったのね……!?」

「あはは、ドッキリ大成功~!!」

「ちょ、お前らなぁ……脅かすなよー」と言いながらも、蓮先輩の口元は嬉しそうに緩んでいる。

「もう、茉那まで。本当にびっくりしたんだから!」

咲良は呆れたように息を吐きながらも、みんなの温かい祝福が心地よくて、自然と笑みがこぼれてしまった。


見上げる夏前の空は、雲一つない見事な快晴。
優しく吹き抜ける心地よい風が、咲良たちの頭に残った紙吹雪をふわりと連れ去っていく。

それから始まった昼休みは、これまでにないほど賑やかで楽しいものだった。
五人で屋上の床に座り込み、はしゃぎながらお弁当を広げる。
咲良が自分のお弁当箱を開けた、その時だった。

「もーらいっ!」

「あ!蓮先輩!?」

横から伸びてきた先輩の箸先が、咲良のお弁当箱から黄色い卵焼きを一つ、鮮やかに奪い去っていった。

「それ、私が作った卵焼きなんですけどっ!」

「ちょっと、返してくださいってば!」

「えー、どうしよっかなー?」

抗議する咲良を気にする風もなく、先輩はそれを一端に口へと放り込む。

そして、噛み締めるたびにその端正な顔をこれ以上ないほど幸せそうに綻ばせた。

「んー、うま!咲良ちゃん料理できるとか最高!いいお嫁さんになるね!」

「んな……っ!なりませんからっ!」

からかうような、だけど本気が混じったような先輩の言葉に、咲良は顔を真っ赤にして怒ってみせる。

そんな二人の微笑ましいやり取りを見て、茉那や爽先輩、凌久先輩がドッと楽しそうに笑い声を上げた。
海里先輩もまた、見守るような温かい眼差しで二人を見つめている。

みんなの笑い声が、青空へと高く吸い込まれていく。

過去を乗り越え、大好きな先輩の隣で笑っている今が、咲良にとって何よりも愛おしく、かけがえのない大切な日常へと変わった。