咲良が強張った顔のまま固まっていると、目の前のチャラい不良男の一人が、品性のない笑みを浮かべてじろじろと覗き込んできた。
「あれ?こいつ、どっかで見た顔だなー?」
すると隣にいた男が、ニヤニヤしながら調子を合わせる。
「マジ?可愛いし、何かの知り合い?」
男たちはそう言ってはしゃいでいたが、咲良の顔をまじまじと見つめていた一人の目が、不意に怪しく光った。
「あぁっ!お前、中学のときのクソ陰キャの小鳥遊じゃねーか!」
「(最悪だ……バレた)」
咲良は心の底からショックを受け、目の前が真っ暗になるような感覚に陥った。
その声を合図にするように、もう一人の男も記憶が繋がったらしい。
「うーわ、マジだ!面影あるわ。何々?整形でもしたの?ギャハハ!」
「マジやべー。ちょっと高校デビューしたからって、何お前、男と遊んでんのか?倉橋といい、お前らってマジキモいな!」
容赦なく浴びせられる、あの頃と変わらない最低な言葉の数々。
咲良は震えそうになる足に必死に力を込め、冷え切った頭でなんとか気を取り戻した。
「――あなた達に関係ないでしょ?もうどこか行ってもらえませんか?」
冷たくあしらい、早くこの場を立ち去るよう促す。
しかし、その毅然とした態度が逆に男たちの神経を逆なでしたようだった。
彼らは離れようとするどころか、さらに距離を詰めて咲良を囲い込む。
「何だその態度?そんなに遊びてぇんなら、逆に俺達が相手してやってもいいんだぜ?」
「陰キャのくせにマジ調子こいてんじゃねーよ」
次々と投げつけられる罵声に、咲良は息が詰まりそうになる。
これ以上ここにいたくない。
恐怖と嫌悪感で居ても立ってもいられなくなった咲良は、ベンチから勢いよく立ち上がり、男たちの隙間を縫って逃げ出そうとした。
しかし、それを読まれていたかのように別の男が立ちはだかる。
「おいおい!逃げるのは無しだぜ?」
「きゃ……っ!放してっ!」
次の瞬間、咲良の細い右手を男の無骨な手が強く掴んだ。
ギリギリと締め付けられる痛みに悲鳴がこぼれ、咲良は必死に抵抗する。
けれど男の力は強く、どうしても振り払うことができない。
そのとき――。



