綾瀬先輩と咲良が訪れたのは、青く澄んだ光が幻想的な水族館だった。
館内に一歩足を踏み入れた瞬間、咲良の目はきらきらと輝き出す。
久しぶりに見る色とりどりの魚や、頭上を悠々と泳ぐ大きなエイに圧倒されながら、奥へ進むと愛らしいペンギンたちのエリアが見えてきた。
「綾瀬先輩!あのペンギン、凄く可愛いです!」
ガラスにピタリと張り付くようにして、声を弾ませる。
学校では決して見せないような、無邪気で素直な咲良の笑顔。
綾瀬先輩はそんな彼女の姿を、まるで宝物でも見つめるかのように、愛おしそうにじっと見つめていた。
「咲良ちゃんでも、子どもみたいにはしゃぐんだねー」
綾瀬先輩は少しだけニヤニヤしながら、からかうように声をかけてくる。
「っ、しょうがないじゃないですか! 可愛いものは可愛いんですから!」
子どもっぽいと言われたのが気恥ずかしくて、咲良は少しだけ顔を赤らめて膨れてみせた。
そんな咲良の反応がたまらないといった様子で、綾瀬先輩はニカッと眩しく笑う。
そして、水槽の中で寄り添う二羽のペンギンに視線を移すと、少しだけ声を落として呟いた。
「咲良ちゃん知ってる?ペンギンってさ、死ぬまで大好きな人と一緒に添い遂げるくらい一途なんだよ。……なんだか、俺みたいじゃない?」
不意に紡がれた、あまりにも真っ直ぐで深い響きを持った言葉。
咲良は驚いて大きく目を見開き、隣に立つ先輩を見上げた。
真剣な眼差しで見つめ返されるのかと身構えたけれど――。
「ふふ、なんですかそれ」
あまりにストレートすぎる例えに、咲良の緊張の糸が解け、思わず小さな笑みがこぼれてしまった。
その瞬間、ふいに笑った咲良の可憐さに、今度は綾瀬先輩のほうがドキリとしてしまう。
先輩は自分の動揺をはぐらかすように、わざとおどけた調子で笑ってみせた。
「あれー?結構良い口説き文句だったと思うんですけどー?」
楽しそうに笑う先輩を見つめながら、咲良の胸の奥にも心地よいドキドキが広がっていく。
(私、今……嬉しいって思った……?)
先輩からの好意を、ただ戸惑うだけでなく、心の底から喜んでいる自分に、咲良ははっきりと気づき始めていた。
そんな咲良の心の変化を知ってか知らずか、先輩は少しだけ距離を詰め、耳元で悪戯っぽく囁く。
「だって咲良ちゃんがさー、可愛い格好してくるから悪いんだよ?」
「……っ」
ストレートな褒め言葉に、今度こそほんのりと顔に熱がこもる。
水色のワンピースを選んで、髪を巻いて、リップを塗って。
一生懸命オシャレをした努力が報われた気がして、胸がいっぱいになる。
「それは……あの、ありがとうございます…」
これ以上顔を見られたくなくて、咲良は蚊の鳴くような声でお礼を言うと、逃げるように早足で前へと進んでいった。
「あ、照れてるー」
背後から、嬉しそうな先輩の追いかける足音が聞こえる。
「照れてませんっ」
繋いだ手を引かれるようにして、咲良は赤くなった顔を隠しながら、光の溢れる水槽の奥へと進んでいった。
館内に一歩足を踏み入れた瞬間、咲良の目はきらきらと輝き出す。
久しぶりに見る色とりどりの魚や、頭上を悠々と泳ぐ大きなエイに圧倒されながら、奥へ進むと愛らしいペンギンたちのエリアが見えてきた。
「綾瀬先輩!あのペンギン、凄く可愛いです!」
ガラスにピタリと張り付くようにして、声を弾ませる。
学校では決して見せないような、無邪気で素直な咲良の笑顔。
綾瀬先輩はそんな彼女の姿を、まるで宝物でも見つめるかのように、愛おしそうにじっと見つめていた。
「咲良ちゃんでも、子どもみたいにはしゃぐんだねー」
綾瀬先輩は少しだけニヤニヤしながら、からかうように声をかけてくる。
「っ、しょうがないじゃないですか! 可愛いものは可愛いんですから!」
子どもっぽいと言われたのが気恥ずかしくて、咲良は少しだけ顔を赤らめて膨れてみせた。
そんな咲良の反応がたまらないといった様子で、綾瀬先輩はニカッと眩しく笑う。
そして、水槽の中で寄り添う二羽のペンギンに視線を移すと、少しだけ声を落として呟いた。
「咲良ちゃん知ってる?ペンギンってさ、死ぬまで大好きな人と一緒に添い遂げるくらい一途なんだよ。……なんだか、俺みたいじゃない?」
不意に紡がれた、あまりにも真っ直ぐで深い響きを持った言葉。
咲良は驚いて大きく目を見開き、隣に立つ先輩を見上げた。
真剣な眼差しで見つめ返されるのかと身構えたけれど――。
「ふふ、なんですかそれ」
あまりにストレートすぎる例えに、咲良の緊張の糸が解け、思わず小さな笑みがこぼれてしまった。
その瞬間、ふいに笑った咲良の可憐さに、今度は綾瀬先輩のほうがドキリとしてしまう。
先輩は自分の動揺をはぐらかすように、わざとおどけた調子で笑ってみせた。
「あれー?結構良い口説き文句だったと思うんですけどー?」
楽しそうに笑う先輩を見つめながら、咲良の胸の奥にも心地よいドキドキが広がっていく。
(私、今……嬉しいって思った……?)
先輩からの好意を、ただ戸惑うだけでなく、心の底から喜んでいる自分に、咲良ははっきりと気づき始めていた。
そんな咲良の心の変化を知ってか知らずか、先輩は少しだけ距離を詰め、耳元で悪戯っぽく囁く。
「だって咲良ちゃんがさー、可愛い格好してくるから悪いんだよ?」
「……っ」
ストレートな褒め言葉に、今度こそほんのりと顔に熱がこもる。
水色のワンピースを選んで、髪を巻いて、リップを塗って。
一生懸命オシャレをした努力が報われた気がして、胸がいっぱいになる。
「それは……あの、ありがとうございます…」
これ以上顔を見られたくなくて、咲良は蚊の鳴くような声でお礼を言うと、逃げるように早足で前へと進んでいった。
「あ、照れてるー」
背後から、嬉しそうな先輩の追いかける足音が聞こえる。
「照れてませんっ」
繋いだ手を引かれるようにして、咲良は赤くなった顔を隠しながら、光の溢れる水槽の奥へと進んでいった。



