なんだ、と思うまもなく、橘が私の耳元で囁いた。
「じゃあ俺、マネージャーさんをドキドキさせられるような演技ができるよう、頑張っちゃいますから」
言い終えて橘はニッと笑うと車を降りていった。
突然のことに、ぽかんと開いた口が塞がらない。
まだ耳元に橘の声とシャンプーの匂いが残っている。
心臓がドクドクとうるさく脈打ち始める。
これは…突然のことだからびっくりしているだけだ。
そう、あれ、吊り橋効果、的な。
いや~、びっくりした。
ただ…、吊り橋効果にしては…身体が熱いような気はするけども…。
急だったから身体が驚いてるだけだ、多分。
ふ~っと息を吐いて、乱れた心臓を落ち着かせようと深呼吸を繰り返す。
それにしても、近距離でみるイケメンの破壊力というのは凄まじいな。
なんか、キスシーンでドキドキする人の気持ちが分かったような気がする…。
