明日マネージャーやめます!

 心を読まれてギクリとする。

 「俺にとっては仕事でするキスだって、たかが、なんてものじゃないんです」


 「そんな重く考えなくてもいいと思うけど」


 「いいえ!」

 橘はきっぱりと言い切ると私の目を真っ直ぐに見つめた。

 「マネージャーさんに見られるから嫌なんですよ…!」


 「ん~、それは、あれ?身近な人に見られるの恥ずかしい~的な…?」


 「そんなんじゃなくて!」

 橘は叫ぶとため息をついた。

 「いいです、もう。撮影行ってきます」


 明らかに不貞腐れた橘の顔を見て、なんだか弟を思い出す。



 弟も口喧嘩する度に毎回こうやって拗ねていた。


 「頑張って。あんたなら上手くできるよ」


 ポンポン、と頭を撫でると橘が驚いたように目を大きくして私を見た。

 しまった、弟にする癖がつい出てしまった。

 橘はフッと微笑むと私にぐっと顔を近づけた。


 目と鼻の先に、橘の顔が近づく。

 橘が愛用しているシャンプーの匂いが感じ取れるほどに。