「どこ行く?テキトーなカフェとかでいい?」
「はいっお話しできればどこでもっ」
「……この状態で歩くの?」
「はいっ!……いけませんか?」
「……。うーん」
“断りづらいなぁ”なんて心の声が聞こえてくるようだけど、本当に嫌がっている感じはしないから遠慮なく甘える。
久しぶりに近くに感じる清涼な香りは、こっちの瑠奈ちゃんの方がぴったりですねなんて、また嬉しくなった。
――……
落ち着いた先は、数分歩いて着いたチェーンの珈琲店。
同じ世代くらいのカップルや友達グループが潜んで盛り上がる店内の端っこで、2人がけの向かい合った席に着いた。
「いいんですか?瑠奈ちゃん。これ、ご馳走してもらって……」
私の手には、新作のビターチョコレートほうじ茶フラペチーノ。
目の前でレモン入りの無糖アイスティーを飲む瑠奈ちゃんは、なんでもない顔をしている。
「いいの、これはお礼だから。むしろこんなものでごめんねってくらいだし」
「お礼?」
きょとんとすると、瑠奈ちゃんの綺麗な目がチラリとこちらに上向く。
その表情はすごく冷静で大人に見えて、またドキリとした。
「爽真から、ひよりが私を心配して“助けて”って言ったって聞いた。あと、真っ先に私をヒーローって言って庇ったって」
――アオバケロケの最終日の日のことですね。



