【完】台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


夢のような毎日から、1週間が経ちました。



ちょっとした歴史のある女子高校生。
新学期の始まりと、2階の1年3組の教室。

窓際の後ろから3番目の席で、賑やかな10分休憩の談笑をBGMのようにしてぼんやりと外を眺めている。


(まだ暑いのに、気付けばほんの少し空が高くなったような気がします……)


ほんの少し前までのカンカン照りの太陽が、過酷だったのにちょっと恋しい。

ふと手元を見ると書きかけだったノートを思い出す。
慌てて前を見たら、すでに板書は消されていた。


「はーるのさん」

ご機嫌を伺う猫撫で声なのにどこか刺さる声色が降ってきて、びくりとそっちを向く。

「へあ……小川さん……どうかしましたかっ?」

にこり。愛想笑い。
条件反射のようにへらへらとしてしまうのは、私の悪い癖だ。

華やかな出立ちの小川さんと、彼女を取り巻く二人組に見下ろされて胸が緊張でドキドキする。
いつも空気のように私を扱って、時々遠くでヒソヒソと笑ってくるだけなのに……一体なんの用でしょう?


「アオバケ最終回、見たよぉ。すごいね、まさか春野さんがカップル成立するなんて思わなかった!」


なんとなく素直に受け取れない、ざわりと感じる言葉の裏。

「えと、あ……ありがとうございます」

早く行ってと願いながら、それでも笑顔はやめられなかった。


「それでさ、春野さん」


それなのにテキストとノートで窮屈な私の机の上に無遠慮に手をつく小川さんは、まだ居座ってより声を甘くする。


「そうまくんとかしおんくんとは、撮影終わった後も仲良いの?」


ドキリ。胸に広がる嫌な痛み。
彼女たちが私に求めていることが、わかってしまった。