人混みを避けるたびに、ゆらゆらと揺れる緩い恋人繋ぎ。
半歩前を歩く紫苑の横顔は、キャップの印象も合間って少年みたいなあどけなさ。
「紫苑って、手繋ぐの好きだよね」
アオバケの時から、何かにつけてそうしてきたし。
手慣れてる上にどこか冷めてそうなのに、いちいち手を繋ぎたがるとこはなんとなく意外な一面だ。
振り返って立ち止まる顔が、きょとんとしてる。
でもすぐに、ふっと小悪魔っぽく笑った。
「香月さんにだけだよ」
「……またまた。それを何人に言ってきたんですかね」
「ふ、バレちゃった」
げんなりして見せつつ、思わずどきりとしたのは内緒。
知られたら、絶対にイジってくるもんね。
――……
10分くらい歩いて、ファミレスの前に着く。
入り口に行くための階段に上がる前に、するっと自然に手が解ける。
反響する2人分の階段を上がる音に続いて、キィとドアを押し開けた音。
冷え冷えの店内にすっと熱を吸収されて、心地よかった。
――運良く店内角の、4人がけのソファ席に、並んで座る。
私が座った側に、紫苑が当たり前のように押し入ってきたから。
向かい側に席があるのに、なぜ?
バカップルみたいで恥ずかしいんだけど!
「何食べる?香月さん」
紫苑は何事もないかのように涼しい顔で、注文用のタブレットを引き寄せる。
そうすると恥じらってるこっちがおかしい気がしてきて、眉を寄せて黙るしかなくなった。



