――気づいてた、紫苑も。
そしてきっと、私と同じ懸念をしている。
「昨日の生配信のアーカイブ。もし見てないなら観た方がいいよ」
紫苑が体の向きを変えて、ドアの方へ歩き出す。
それを目で追っていると、ドアの内鍵に手をかけた紫苑が振り返って綺麗に微笑んだ。
「アオバケ成功と、俺たちの今後のためにどうすればいいか。
“考えようね”?香月さん」
ガチャン。
鍵が開いた金属音が、狭い物置部屋の中に響く。
紫苑がドアを全開にした瞬間、廊下の生ぬるい風が吹き込んできた。
「ゲーム機は探したけどなかったって言おうか、瑠奈ちゃん」
どうぞ、なんて促す仕草は、もう王子様のそれで。
「うんっ、そうしよ。紫苑くん」
だから私も、悪女になる。
「もひとつ言っとくけど、爽真と喧嘩中だって契約は生きてるからね」
「……わかってるよぉ、そんなこと」
本当に抜け目ないし、そして喧嘩中ではないし。
くるくる顔を変えたせいか、なんだかどっと疲れた気がした。



