台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


「なるほどね、なんかわかったかも」

“なにが?”と問う前に、紫苑がパッと私の手を完全に解放する。

「こんなこと思いたくなかったけど――
ちょっと爽真に同情する」

(……。なんで爽真が出てくるの?)

怪訝に見上げる私を見つめて、紫苑が苦笑を漏らす。

紫苑の手が私の額へと伸びてきて、前髪の付け根にくしゃりと指を通した。


「……ッ!?」

「ムカつくなー。
恋リアに出ておきながら、センサー死んでるこの頭」

「どういう意味!?」

「いろいろ聡いくせに、肝心なとこ鈍いって何。
致命的だよ?それ」

腹立ちまぎれのような真顔で、紫苑は私の前髪を根元からぐしゃぐしゃに乱す。

棚に追いやられたままなせいで逃げ出すこともできず、紫苑の腕を両手で掴んで何とか引き剥がそうとする。


敗北感と優越感。
呆れと諦めきれなさ。


目をキツく瞑って歯を食いしばり、本気の力で抵抗している私を見つめる紫苑の表情が、また矛盾した感情を滲ませた。