私の目の揺れを、紫苑は見逃さない。
取り乱したのをわからせるように、紫苑は冷静なままだった。
「動揺したね。
今日の演技は初期の頃並みに役に入ってる気がしたから、おかしいと思ったんだよね」
「なにそれっ……
私はいつでもきっちりやってますけど!?」
「どうだか。で、原因は?爽真?」
「……だから、泣いてないって……!」
追い詰められて崩れた仮面に、焦って紫苑から顔を逸らす。
ふっと翳った紫苑の目が一瞬で細まって、声のトーンを落とした。
「俺に見せる香月さんは、いつも横顔だね」
「え……」
優しく苦い声色に驚いて、背けた顔が紫苑に戻る。
光のない蜂蜜色の瞳と視線がぶつかって、紫苑の口元に微笑みが浮かんだ。
「あ。こっち見た」
嬉しいと苦しいが同時に混じる、矛盾した笑顔。
それが胸をガツンと叩くから、また瞳が揺れてしまう。
紫苑の手によって少し圧迫された手首が、ドクドクと脈を打つのがわかる。
「策略や目的は何」って言葉が、頭の中から消し飛んで。
一瞬。一瞬だけ。
いけない感情を抱いた気がして、眉に強く力を入れた。



