台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

8月23日。月曜日。


今日は14時から、大和と彩加、爽真と美玲のご褒美デートの収録が予定されている。


それまでは、のんびりテレビを見たり雑談したり、夏休みの宿題を片付けたり――……


固定カメラの画角に入っておけば何をしていてもいい。

今日はかなり、隙間の多いスケジュールで動いている。


――13:00。


「紫苑くんっここ、教えてくださいっ」
「紫苑さん!この答えなんスか!?」


ダイニングテーブルで、紫苑を真ん中に置く陸とひよりが全く同じタイミングで紫苑の顔を覗き込む。


「んー?ちょっと待ってね……」


爽やかな紫苑の笑顔に、“面倒くさい”の文字が密かに浮かんでいた。


課題を抱えて、私も女子フロアからリビングに降り立つ。

3人の他に、キャストは誰もいない。
どこかの部屋で、デート企画の打ち合わせをしているようだ。


胡散臭いほど人のいい紫苑の目が、私を捕まえて呼びつけた。


「瑠奈ちゃんもやってよ。家庭教師。
ひよりちゃんと陸、宿題が終わらないんだって」


3人に向かってにっこりと微笑みかけ、頭の中では計算中。


“瑠奈”なら、面倒くさいことはパス。
けど、この場面は紫苑がいるオプション付き。



(じゃ、乗る。“瑠奈”なら)