台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

ズズッと啜った鼻に、潮風が染みる。

どれだけ否定する証拠を探してみても、見つかるのは爽真に心動かされた記憶ばっかりだ。


(ああ、もう。こんなの。
私、爽真のこと大好きじゃん……)



認めたって、遅いし、報われないんだけど。

この気持ちはストーリーを逸脱した、完全なる異物。
だからこそ今まで、ずっと結論を先送りにし続けてきた。


息が通るようになった喉から、深くて長いため息が漏れ出す。

バラバラで私を苦しめてきたパーツがぎゅっと一つにまとまってしまえば、
待っている結末はバッドエンドだというのに、ものすごくスッキリしたりもして。

熱くなってヒクつきかけた目元を、感情に支配される前に強く拭って落ち着かせる。

潮っぽい夜風が目に染みるけど、それでも強がって前を向いた。


(これでもう振り回されない。残り約1週間。
私は私の道を、走るだけだ)