――深夜0:00。
いつもより遅かったひよりの寝息を確認して、そっとベッドを抜け出す。
誰に会いにいくでもなく、とにかく1人になりたくて。
忍び足で、階段を降りていった。
しんと、音ひとつないリビング。
当然そこには誰もいない。
ソファに座るのは気が引けるから、テラスの大窓の鍵を開けてひたひたと外に出た。
熱帯夜の湿気が、じっとりと肌に絡みつく。
けれど、不思議と海風は心地よくて。
テラスの柵に腕を預けて、暗闇に隠れて見えもしない夜の海をぼうっと見つめた。
(感情を後回しにしたツケが、一気に来てしまった……)
最低最悪。
涙なんて、絶対に見せちゃいけなかったのに。
心の中はぐっちゃぐちゃ。
吐き出す術もないから、喉の先まで感情が詰まってきて、苦しい。
(一回。一回整理しよう。いろんなことから逸らし続けてきた目も、ちゃんと正面に向けて)
柵の上に組んだ腕に、顎先を埋める。
前を見て少し落ちた瞼に何が浮かぶのか、それを待った。



