台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


「るる、瑠奈ちゃん!?どうしたんですかっ!?」

「……へっ?」


口を開いた瞬間、ぽたっと顎下から雫が落ちる。


感覚が戻ってくる前にぽたぽたととめどなくそれは落ち続けて、白いシーツに温いシミが広がっていく。


その原因が私の目から発生する涙なのだと気づくまで、ずいぶん時間がかかった。


「え…あ……、なんだろ、これ……
ドライアイが進行しちゃってるのかもしれない」

焦って目元を拭って、頬を擦って、涙を無かったことにしようとする。

「瑠奈ちゃんドライアイなんですか!?
……じゃなくて!ドライアイじゃそうはなりませんよっ」

ベッドを飛び出したひよりが、箱ティッシュを抱えて戻ってくる。
すぐさま差し出してきたそれを、手で制してお断りした。

「……大丈夫」

涙はもう止まった。
けれど、濡れたシーツと手のひらが事実を誤魔化させてはくれない。


「ごめんねひよりちゃん。瑠奈、ブルーライト浴びたくないから今日はもう寝るね。
続きは……もう見ないから、ひよりちゃん1人で見ておいて」


頑なにドライアイのせいにする私を、ひよりは心配そうに見つめている。

けれど、小さく頷いてベッドから退いてくれた。

「……はい…おやすみなさい。瑠奈ちゃん」
「……うん、おやすみ」

そう言ってすぐ、布団で全身を包んでしまう。

何の整理もできず、答えもまとまらない感情を持て余したまま。
静かに夜が更けるのを待った。