『爽真くん、レタスは瑠奈がやるね?』
『……まぁ。千切るくらいならやれるか』
『それ、どーゆー意味ぃ!?』
はっとため息をついた爽真が、バラしたレタスを私に渡してくる。
レタスを一枚手にした私を見る爽真の顔は、完全に信用してない怪訝さ。
『……瑠奈、できるんだからっ』
ムッと心から拗ねた顔をして、“瑠奈”らしく可愛く爽真を睨む。
次の瞬間、爽真がカメラに抜かれる。
私を見つめるその顔は、無表情だったのに――
夜色の瞳の奥だけは、ちゃんと笑っている気がした。
力任せに握って引っ張ったレタスが、広げた手のひらの中でふにゃんと萎れている。
>>wwwwそうなる気がしてたwww
>>圧倒的生活力の無さ
>>これにはそうまも閉口ですわ
>>もともと無口だけどね
“w”と“笑”で埋まるコメント欄。
ひよりも「わっ」とびっくりして、しなしなレタスに目を奪われている。
「……」
私の目も、画面に縫い付けられたまま。
スマホを握る手の感覚が、ちょっと遠のいている。
「瑠奈ちゃん、やっぱりアグレッシブですねっ!
個性的でおもしろいですけ、ど……」
ころころと笑っていたひよりの顔が、こっちを向いて表情を失くす。
純粋な丸い目が驚きで見開いて、そしてすぐに動揺を見せた。



