「それがね、瑠奈たちはまだ0なの。もう、焦っちゃうよねぇ」
私も“紫苑に恋する瑠奈”として爽真の回答権を奪う。
カメラの中で、みんなのキャラがエンタメとしてちゃんと立つように。
結構いい受けだったと思う。
「紫苑くんたちはぁ?お買いもの、なんだったの?」
「黒ひげ危機一髪。もう一個もおもちゃだったよ」
「ずるーい。そしたら2つとも、近くにあるってことじゃない」
「まぁそうだけど。ずるくはないでしょ」
彩加を挟んで続く紫苑と私の会話を、爽真は黙って聞いている。
無関心を装った顔が、会話が途切れないことに少し鋭くなって――堰を切ったように距離を詰めてきた。
「時間、なくなるけど」
背後から軽く肩を掴まれて、驚いて振り返る。
王子の仮面を被る紫苑の目が、ほんの少しピリつく。
私を挟む爽真と紫苑の間に、無言の火花が散った気がした。
「あっそうだったぁっ
ごめんね紫苑くん、またあとでねっ」
大袈裟に眉尻を垂らして、しっかり名残惜しいふりをしてからままごとコーナーに入っていく。
私が走っていく後を歩く爽真は、振り返ってまで紫苑を見ている。
紫苑も受けて立つとばかりに、その視線にどこか冷ややかに応じる。
「うちらも急ご!紫苑くん」
「……あぁ、うん。そうだね」
彩加に急かされて紫苑が歩き出すまで、水面下でずっと睨み合っていた。



