ガチャリ。
リビングのドアが開く。
冷めた顔をした爽真が入ってきて、その目がソファに座る私と紫苑のことを捉えた。
「おかえり、爽真」
「……おかえりー。爽真くん」
今日初めて目を合わせたことに緊張しながら、爽真に向かって悪女の愛想笑いをする。
「……」
冷たかった綺麗な顔から温度感すら消える。
爽真はすぐに私たちから視線を外して、美玲のいるキッチンへと戻っていく。
「おかえりなさい。爽真くん」
「……ん、」
また、嫌な緊張感の中に引き戻されて。
演技に潜りきれないまま、
ラストスパートの1日目が、始まろうとしていた。



