台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


――――
――……

7:30。

「瑠奈ちゃんっ起きてください。
朝ごはんに遅れちゃいますよっ」

カーテンレールに勢いよく金具が滑る音がして、強い日差しが窓から私の顔を直撃する。
その眩しさに顔を顰めて、乾いた目を手の甲で隠した。

「ん……、朝……?」

「そうです、朝ですっ
珍しいですね、瑠奈ちゃんが寝坊なんて」

ひよりがせっせとクローゼットにかけてある私の制服風衣装を運んでくる。

のそりと体を起こして、ぼーっとしたまま顔に垂れる髪のひと束をぎこちなく横に流した。


(なんだ、普通に寝れたじゃん)


一回意識を手放したからか、胸の痛みも薄まっている。

「瑠奈だってたまには寝坊くらいするよぉ。
ありがとね、ひよりちゃん」

柔い笑顔も作れるし、舌ったらずな声も出る。

ひよりから制服を受け取って、パジャマを脱いで真っ白な半袖シャツに袖を通す。

短いスカートを履いて。
リボンをつけて。

甘い薄桃色のベストまで着てしまえば、ちゃんと“瑠奈”になりきれる。

いつも通りの顔をして、女子フロアの洗面室で顔も髪も整える。


(今日もバッチリ。完璧)


何をぐずぐずしているのか。
私はここに、仕事をしにきてるのだ。

もう誰もいなくなった女子フロアの廊下に繋がるドアを、勢いよく開ききる。


(いざ、出陣!第4週、ラストスパートの始まりだ)