「……よくわからないけどぉ。とりあえず、戻ろうよ。
大和くんがお茶淹れてくれるってー」
同時に両手を引っ込めて、双方から逃れる。
さっさと背を向けてしまう。
先行して廊下を走りながら、人知れず深く呼吸を繰り返して狂った心拍を正常に戻していく。
「……戻る?」
「……」
2人して何となくバツの悪い顔をしながら、紫苑が指さした廊下に先に爽真が出る。
そこに出たら、記憶抹消。
だけど、見えた本音は本物で。
爽紫戦争、決着ならず。
ただ、たった1人への本気の想いがほんの少し可視化した――
そんな風に、見えたとか、見えなかったとか。
【爽紫戦争・完】



