「海で瑠奈を殺しかけたくせに」
「人聞きの悪いこと言わないでくれる?
爽真だって花火大会で随分紛らわしいことやったよね」
「同列に語るな」
「俺からしたら似たようなもんだよ」
徐々に微妙に話の重心がズレ始めてきたことに、2人とも気付いていない。
声色は淡々と、あるいは爽やかに飄々としているのにトゲトゲした言い合いは続く。
「瑠奈ちゃんの可愛い反応を引き出してるのは俺だから。知ってる?からかうと意外と照れるの」
「は?黙れば」
「釈然としない顔してさぁ。それでも負けたくないから頑張ってくるの。可愛くない?」
「………」
爽真が完全に黙り込む。
対抗カードはいくつか浮かぶ。
けど、紫苑には――というか、誰にも渡したくない。
それで、無視という名の籠城をした。
「あれ?終わり?
じゃあ俺の勝ちってことになるけど――……」
バタン!
ノックもせずにドアが開く。
その瞬間、いつのまにか立ち上がりかけていた2人は瞬時に椅子に深く腰掛ける。
警戒して全開になったドアを見ると、そこには瑠奈が立っていた。



