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夕食を終えて、済んだ食器をシンクに運ぶ。
俺としては普通のことなんだけど、案外やらない人が多いんだってこの撮影で知った。
誰かがやるだろうと思っているのか、食事が済んだらすぐテレビの前に映って好き勝手に盛り上がり始める。
その中に栞もいて――さっきのことなどなかったかのように、もう裕太と笑っている。
談笑に背を向けて、キッチンの引き戸を閉め切る。
シンクの中に山積みになった食器に、水道のバーを上げて水をかける。
氷並に冷たい水が温水に変わるのを待ちながら、ぼーっとするこの時間は、案外嫌いじゃなかった。
「えっ!?大和、なにやってるの?」
突然背後から驚いている声がして、ひく、と肩が跳ねる。
戸が開いた音には気付けなかった。
それくらいぼーっとしてたってことだ。
恐る恐る振り返ると、そこには声の通り驚いた顔をした彩加がいた。
「何って……皿洗いだけど……?」
「え゛っもしかしてそれ、毎日大和がやってくれてたの!?」
「そう、だけど」
「ええ〜!?そうなの!?
言ってよぉ、スタッフさんがしてくれてると思ってたじゃん!」
彩加はメッシュ髪のポニーテールを振り乱しながら、大袈裟に反り返る。
その勢いに呆気に取られていると、ダボついたベージュのセーターを捲り上げてこっちに向かってズカズカと歩いてきた。



