「裕太だって、本当は栞を誘いたかったと思うよ。
ただ、昨日ナオが裕太を気になってるって言ったから、無碍にできなかったんじゃない?」
「そうかなぁ……でも、裕太とナオはこの間も2人で仲良さそうにしてて……っ。
それ見てるのが私、かなりキツくて……」
――そんな時俺は、いつも栞の慰め役になる。
栞への恋情を持ちながら、献身的に尽くす男子。
それが、“大和”に課せられたキャラクターだから。
「大丈夫だって。栞は可愛いんだから。
自信持ちなよ」
「……ありがとう。大和、優しい……」
ピンク混じりのブラウンのウェーブ髪を揺らして、栞はしっとりと俺を見つめる。
「私、やっぱり大和を好きになればよかったかなぁ……?」
そして、お決まりのこのセリフ。
……俺に、なんて言ってほしいの?
「……」
本音の俺は多分、栞のそういう悲劇のヒロイン気質が苦手。
役を越えて、彼女は取り合われる状況を楽しんでいるように感じるから――余計に。
だから、いつも曖昧に頷くだけだ。



