いつも自信なさげに前で組んでいた手を解いて、体の横に縫い付ける。
その目には一切の迷いがなく、緊張が滲むのが余計に彼女を凛として見せた。
「爽真くんとの絡み、思った以上に反響があったみたいで……
紫苑くんと爽真くん、どっちの告白を受けてもいいって、昨日巻さんが」
美玲の手に、ほんの少しの力がこもる。
僅かに頬に差した赤は、本当の想いを伝えるときのそれだった。
「だから、それなら私、爽真くんとの結末を選びたい。
……だめかな?」
――嘘のない言葉に、爽真の心が深く沈む。
穏やかな海に投げた視線の先に、思い浮かぶのは瑠奈の顔。
『……行かないで、爽真……っ!』
ずるい奴。勝手な奴。
そうやって縋ったくせに、朝になれば俺に見向きもせず別の奴のところに走っていく。
『私は、“悪女の瑠奈”を演りきりたい』
『だから悪意なんて、爽真も一緒に笑い飛ばしてよ』
瑠奈の行く道を、側で一緒に見届ける。
そう約束したから、俺は1番欲しいものに手が伸ばせずにいるのに。
『爽真!今日ね……』
無邪気な笑顔も、素直じゃないのにわかりやすいところも。
弱さを強がりと理性で覆い隠す不器用な強さも。
俺だけが知ってる本当の瑠奈が、
好きで、好きで、たまらない。



