ギャンギャンと始まる喧嘩にもならない言い合いを、大和たちは苦笑いして見守っている。
「……まぁ、なんかあったんだろうね……?」
「くだらないことな気もするけどね」
「陸くん、その態度が1番筒抜けなことに気づけてません……」
好き勝手言う大和、彩加、ひよりの側で、美玲は意味深な視線を男子フロアの階段に向ける。
想像を巡らせているような、何かを心配しているような、そんな表情だった。
「ナイショ話でいいからっ。瑠奈がこうやって、耳に手当てといてあげるから」
「できるかー!!」
そう言って、私が自分の耳の後ろに手を当てて陸に迫った時。
目の前の階段から、紫苑、それから後に続いて爽真が降りてきた。
(……険悪)
まだカメラにも誰にも見られないと踏んでいるのか、紫苑は暗い無表情。
後ろの爽真に至っては、完全に目が座っている。
2人の顔を見た陸がムンクの叫びみたいな顔になって、脱兎の如く逃げていく。
2人の相性が悪いのは知っている。
だけど、カメラが回っている時間帯にここまでギスギスしている姿を見るのは初めてだ。
2人の目が、階段下にいる私を同時に捉える。
「……っ、」
その眼光の鋭さにドキリと心臓が強張って、どっちを見たらいいのかわからなくなった。



