「爽……」
“爽真くんも一緒に行こう”
そう言おうとして、ハッとした。
(……違う違う。爽真は美玲が誘わなくちゃ。)
なにやってんだろ。
今、爽真がひとりぼっちになるって思った。
おかしいでしょ、数秒前まで爽真は美玲の誘い待ちってわかってたのに。
「……」
どう誤魔化そう。
上手く言葉が出てこなくて、悪女の愛想笑いで濁す。
あーもう。
ぜんぜん気、引き締められてないじゃん!
くるり、みんなの方に向き直って、かわいこぶった小走りで中心に割り込もうとする。
そんな私の後ろ姿を、爽真は驚いて見つめていて。
“瑠奈”をしっかり被り直した顔を、紫苑は少し面白くなさそうに一瞥した。
「瑠奈はぜったい、紫苑くんのお隣っ」
「ギャー!なんか来たっ」
「瑠奈ちゃん、私のお隣も空いてますよっ」
私が輪の中に突撃したのとほぼ同じタイミングで、美玲がその輪から抜け出す。
紺色のスカートの裾を揺らして、ひとりぼっちに見える爽真の前に辿り着いた。
「爽真くん。一緒に行こう?
私もまだ書けてないから、だから……」
「……」
返事のない爽真の指先を美玲が遠慮がちにとって、眩しい方へ優しく導く。
たった数メートルの距離を、まるで2人きりに見える絵としてカメラはしっかり捉えていた。



