「うわ、これ緊張する〜っ」
「間違えたら一貫の終わりですね……っ」
(……楽しそうだな)
お互いに顔を見合わせて喋っている姿が眩しい。
恋が絡まないあの空間には、打算も、演技も、何もなくて。
そんな中でも嘘の私で居続けなくちゃいけない私は、やっぱり異質なんだと思う。
(思いっきり空気読めないとこに書くことにしよ)
そう思って、いつのまにか俯いていた顔を上げた時。
「混ざりたいなら混ざれば」
ちょっと距離を空けたところから、爽真の声が飛び込んできた。
カメラには背中向き。
だから、目線だけそっちへ向ける。
そしたら、爽真も目だけはこっちを見ている。
(私、あの中に入りたいって顔してた?)
咄嗟に両手で髪を掴んで気まずくなった顔を隠す。
そんな顔してたんだとしたら、女優として間違っているんだもん。
「瑠奈ちゃんたちもこっちに来なよ。
みんなでやろー」
輪の中から振り返った紫苑が、明るい声で私たちを呼ぶ。
大きく手招きするのは、私の演技を誘っている。
“紫苑”が呼べば“瑠奈”として来られるでしょ?
多分、そんな意図がある。
紫苑が仕掛けたなら、あの中に行ける。
みんなの輪に混ざるべき理由ができたから。
だから、爽真の方を見た。



