台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

16:00。

休憩を挟みながら、ほぼ1日がかりで作業すること数時間。

真っ白だった塀に、私たちの共同作品が浮かび上がりかけていた。


「うわ、やっば!はみ出したぁ!」

「大丈夫だよ、彩加。ここに葉っぱを描き足せば……」

「あ!いい感じっ!さっすが美玲!」

「ね?」


「爽真さんてやっぱ器用っスね。てか几帳面?」

「……フツーだと思うけど」

「見て陸。俺の方が上手くない?」

「紫苑さんは何を張り合ってんスか?」

ごちゃっとみんなで集まって、細部の仕上げに入る。



強い夏の日差しに制服のシャツを透かして8人で並ぶ後ろ姿を切り取れば、まさにアオハル。

青春の1ページみたいだ。


「瑠奈、もう汗だくぅ。かき氷食べたーい」

「そういえば物置になかったっけ?あとで探してみるか」

「あっいいですねっこの後はかき氷パーティーしましょうっ」


大和が“瑠奈”の愚痴に反応して、真面目な答えを返してくる。

そこにひよりも、ノリノリで混ざってきた。


(……そこは“愚痴ばっかでわがままなやつだな”ってリアクションしてほしかったんだけど)


ちらり、ディレクターの反応を確認。


可もなく不可もなくな顔。

まぁ多分、ここだけカットされるんだろうなって思った。