「あ」
腕を伸ばし切ったあたりで、誰かのハケとぶつかる。
ちょっとブレた青い海の繋ぎ目。
持ち主を見上げれば、そこにいたのは爽真だった。
「ごめんねぇ、ぶつかっちゃったぁ」
「……いや、」
「「……」」
(なに!?この沈黙は!)
思わずギュンと反対方向を向いて、居た堪れない気まずさを押し込めようとする。
今は仕事中。カメラの前。
鳴り始めた心臓に、振り回されている場合じゃない!
『行かないで、爽真……っ!』
カッコ悪く縋ってしまった、深夜の自分を思い出す。
(変なこと言っちゃったせいだ、もうっ)
無感情な演技をした、クールな爽真の視線をひしひしと感じる。
撮れ高を狙うためにうろつくカメラマン。
楽しそうにお絵描きを楽しむみんなの笑い声。
爽真の頭の重さと体温を思い出して赤くなりそうな頬を、眉を顰めて我慢した。
…………。
ハッ、視線!



