「終わり?それならもう、行くけど」
少し間を置いて、爽真の手が私から逃げて行こうとする。
それに焦燥を煽られて、強くその手を引っ張りこんだ。
「い、……行かないで、爽真……っ!」
なんでこんなに苦しいんだろう?
なんでこんなに緊張しているんだろ?
どこか、はわからないけど、爽真が私の手に届かないところに行っちゃう気がして。
なんでか勝手に、顔が熱い。
目の奥もじわじわと熱くて、感情の迷子さに眉が下がる。
ぎゅっと握る手は、爽真が逃げていくのを許さない。
冷たく鋭くなっていた爽真の目が、びっくりして丸くなっていった。
浮きかけた爽真の腰が、もう一度ソファに沈む。
ギシ、とスプリングが軋んで、爽真が私の方を向いた。
「……ずるいだろ、それ」
弱り切ったみたいに、眉を寄せて切ない顔。
私の手の中にあった爽真の手が反転して、緩く指を絡め取られる。
温くて優しい手の感触に胸を乱されていると――
脱力した爽真の頭が私の肩に乗った。



