「……今日はもう、寝るか」
「え?」
「朝食当番。明日も早いだろ」
そう言って、爽真はなんの躊躇いもなく立ちあがろうとする。
「爽真、待って……っ」
だから咄嗟に、その手を掴んで引き留めてしまった。
「……なに?」
爽真は立ち上がりかけたまま、無機質に振り返る。
私の手は拒否しない。けど、応じることもしない。
「あ、……えと、……」
まずい、何にも考えてなかった。
衝動的な自分の行動に動揺して、目が泳ぐ。
とにかく理由。引き留めた理由を、捻り出さなくちゃ。
「え、と……美玲、は、……巻さんと、何を話したんだろ、ね……?」
話す度ぎこちなく萎んでいく声。
目も合わせられないくせに手を握ったままの私に、爽真がうんざりしたように息を吐いてもう一度そこに座った。
「さぁ?興味もないし、関係ない」
いつも以上に短くて無愛想な返答。
自分の手を離さない私の手に、爽真の視線が静かに落ちた。



