また口角が上がりかけるから、親指と人差し指を唇の端に当てがって押さえつける。
素直じゃない横顔を、爽真は楽しそうに見つめている。
「……休みの日は?何してた?」
私の表情が落ち着いたあたりで、爽真がそんなことを聞く。
「ん?んー……昨日は家でだらだらして――……
今日は映画観に行ったかな」
「映画?よく行くの?」
「うん。映画は断然映画館で観る派なの」
「へぇ。タイトルは?」
「聞いてもわかんないと思うよ?
超ドマイナーB級映画だから」
「……試しに言ったら、わかるかもだろ」
「廃墟の悪魔」
「知らないな」
ほらね?と荒い鼻息をひとつ。
わかる方がやばいのよ。
圧倒的マイノリティな趣味なんだから。
即レス即出しの一問一答が止まって、爽真が少し迷うように視線を外す。
気長に出てくる言葉を待っていると、爽真が再びこっちを見た。
「……1人で行ったの?」
何も身構えていなかったところに飛んできた質問に、ドク、と胸が一気に緊張する。



