――……
「今日ね、帰ってきた時さ、」
いつもの定位置に座ってすぐ、口が勝手に動き出す。
話したいことがいっぱいあるよ。
聞きたいことも、ちょっとはある。
休みの日のこと。ひよりのこと。
爽真との約束のおかげで、もう一度夢に向かえること。
……それから、美玲とのことも――
今日こそ聞いてみなくちゃ。
数日前の深夜は、どうでもいい話をする余力がなかったから。
約1週間分のログが、私の中に溜まっている。
「ひよりに御手洗が……あ、御手洗って私のマネージャーなんだけど、」
「知ってる。昨日挨拶に来てくれただろ」
「あ、そうだった」
立ち止まって、遠回りして、なんの起伏もない話に、爽真は要所要所で相槌を打ちながら付き合ってくれる。
「……で、ひよりが私のことを友達ですって。
どう思う?これ。悪女としてはダメじゃない?」
体重を前にかけて、下から爽真のことを見る。
夜色の瞳が伏し目がちに私を見て、短く息を吐いた。
「ダメじゃないだろ、別に」
「そう?そうかな?」
「満更でもなさそうな顔してるし」
「え」
言われて、自分の口元がうっかり緩んでいたことに気付く。
急いで下方向に唇を引き締める私を見て、爽真が可笑しそうにふっと笑った。
「春野は素直でいいな」
「そこが危ういとこでもあるんだけどね」
でも、そっか。認めていいのか。友達。



