深夜0:00。
妙に緊張しながら、静かにリビングに降り立つ。
いつも通り。
今日も先に爽真がそこにいる。
契約通り、紫苑はいない。
取った言質を最大限利用してくる男だ。
“干渉しない”と言った自分の言葉も、しっかり守ってくれると思っていた。
「今日は紫苑、ついてこなかったんだね」
契約を交わしたからなんだけど。
あの紫苑が急に手を引いた不自然さに、私が関与してることを疑われないように惚けておく。
「……。疲れたから寝るって言ってたな。
元は暗くなると速攻寝るような奴だったし」
爽真が私の感情を探るように、怪訝な顔をする。
喜んでいるのかガッカリしているのか、確かめるように。
「ふぅん。そっか。
じゃあ久々に、爽真と2人だ」
なんて、知ってたことだけど。
素直に嬉しいのも事実で、表情が勝手に緩んだ。
眉を寄せる爽真の頬に、僅かな赤みが差す。
不機嫌そうな顔は変わらないのに、その意味は変わった気がした。
「……嬉しいの?」
「まぁね。だって紫苑がいたら気が休まらないもん」
「……そっか」
爽真の顔が、ちょっと複雑そうに曇る。
“紫苑がいると気が休まらない”
その意味をどう捉えるか、迷っているようだった。
「爽真?」
微妙な空気に、首を傾げて爽真を見上げる。
爽真は口を開きかけて、すぐに首を横に振った。
「いや、何でもない。
……とりあえず、座るか」
少し暗くなった気がしたけど、気のせいかな?
今の爽真は、いつも通りの爽真に見える。
「うんっ、そうする」
だから気にしないことにして、ソファへ向かう爽真の後についていった。



