――巻さんに?なんで?
嫌な予感に胸がざわつく。
私に嫌われ者の悪女に徹しろと言った人。
あの人に呼び出されることに、いいイメージなんてひとつもない。
(美玲は何を言われている?
ストーリーに関わる、重大なことのような気がする)
妙な緊張感に、微笑みながらごくりと唾を飲みこむ。
――そういえば初めて会った日。
美玲は巻さんと一緒にいた。
……そしてその直後。
美玲は“私がやばい奴だから関わるな”って、ひよりと陸に吹聴した。
“悪意とは限らない”
爽真がそう言うから、気にしないようにしてたけど。
また私に関わる何かを話しているんだとしたら、今度こそ彼女と向き合わないといけないのかもしれない。
――ガチャリ。
ひよりと陸が出て行こうとしたドアが、廊下側から先に開く。
「あれ。みんな、帰ってきてたんだ」
清く澄んだヒロインの声が、リビングの空気を浄化した。



