台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―




ドタバタと大勢で騒がしくリビングのドアを開ける。
ふわっと広がる、正統派な和食の匂い。

「あ。おかえり」

中に入ると、キッチンに大和が立っていた。

「めっちゃいい匂いするんだけど!これ、大和が作ったの!?」

手も洗わずに彩加がバタバタとキッチンに駆け込んでいく。陸とひよりも後に続いた。


(……カメラは当然動いてる、と)


にこにこしながら四方を確認。

あちこちに設置された固定カメラに走らせていた視線が、途中で紫苑とぶつかった。


「目、合っちゃったね♡」

にっこりと愛想笑い。

紫苑め。カメラチェック、同じことやってたな。


「まぁ、偶然?懐かしいってキョロキョロしてたら、ね」


帰ってくる表情もにっこり。
カメラ用の当たり障りのない王子スマイル。

1番最後に入ってきて背後にいた爽真の目が、ひく。と揺れた。


「こら、彩加も陸もひよりも。まずは手洗ってきなって」


キッチンから聞こえてきたお母さんみたいな大和の声で、ピリついたトライアングルも一旦解除される。

子どもみたいな陸とひよりが、素直に返事をしてリビングのドア前にいる私たちの方に走ってきた。


「あれ?ってか、美玲は?まだ帰ってきてないの?」


はた、と足を止めた彩加がリビングを見渡して首を傾げる。

すると大和がお玉を持つ手を止めて、問いに答えた。


「や、結構前に帰ってきてるよ。
ほんの15分くらい前に、巻さんに呼び出されて席外してるだけ」