彩加と陸が、意外そうに爽真のことを見る。
爽真はめんどくさそうに顔を背けて、生ぬるい目も意に介さない。
ひょこ、と私の腕の影から顔を覗かせるひよりが、また純粋な目で爽真を見た。
「じゃあ、瑠奈ちゃんはどうですかっ?」
「いや、そこはさ」と、陸が流れでわかるだろって空気を醸す。彩加も頷く。
紫苑の目の温度が密かに下がって、冷ややかに爽真のことを見る。
夜色で感情を抑えて薄くした爽真の瞳が、ひどくゆっくりとこっちを向いた。
「……なんでもいいだろ」
本当に言葉通りに聞こえるぶっきらぼうさ。
だけど、妙に心臓を掴んでくるから。
ドキドキと胸の鼓動が、抑えようとしても止まらなくなった。
「あ、めんどくさくなってる」
「なってるっスね」
(知ってたし。
私だけそうな理由も、私が先に爽真って呼び出したからだし)
今度は緩みそうになってきた唇を、また噛んで押さえつける。
なんでもないことで上がったり下がったり。
昨日素でいる時間が長かったせいかな。
夕方の私には、ちょっぴり夜が侵食していた。



