――……
駐車場を出る寸前、業界感のある車2台がほぼ同時に私たちのすぐそばに横付けされる。
バン!とドアが開くのも同時。
アスファルトを踏む靴底が擦れる音も同時。
左右から音が重なってくるから、どっちを見ていいのかわからなくなった。
「ただいまー。帰ってきたよ」
「……」
左側に、夕陽を反射させた蜂蜜色。
右側に、夕空を吸収する夜色。
「あ。紫苑くんに爽真くんっ
おかえりなさいですっ」
ひよりの無邪気で明るい声が、曖昧な色の空に溶ける。
嫌がらせみたいな演出に、私の心拍は乱高下。
(なぜ、全く同じタイミング……!?)
平和な空気を打ち破るかのように、
爽真と紫苑も帰還した。
「やっば、2人被りすぎでしょ!」
「図ったかのように全部同じだったっスね!」
私の背後からひょこっと飛び出てきたように、彩加と陸がけらけら笑いながら2人を見る。
「あ、そうだったんだ。気付かなかったよ。
そんな笑えるほど噛み合ってた?」
爽やかに笑って、紫苑がころっと輪の中に入ってくる。
陸や彩加の返事に気安い相槌を打ちながら、チラッと私のことを見た。
心臓が跳ねて、ギシッと僅かに体が固まる。
それを確認してから、紫苑の目がふっと逸れた。
(おおおおい、なんだ今の意味深な目は!?)
昼間の一件のせいで、弱みという名の心臓を握られている気がする。
咄嗟に悪女ムーブができなかった。



